●【Phantom SS】 撮影会
つい出来心でPhantomのSS(ショートストーリー)を書いてしまいました。
元ネタは第6話「大火」のサイス=マスターの「アイン撮影会」
※全てのキャラが壊れています。ご注意を(笑)
「ついて来て」
その一言のもと、僕はアインの運転する車で街中を走っていた。
「どこへ行くの?」
「考えなくていい」
アインの答えは短くて謎めいていた。
ただ今日は暗殺ミッションではないらしい。
しかし、どんな用向きなんだろう?
僕がこのとき、行き先と、その目的を知っていれば、アインに必殺の銃口を向けられても全力で逃げたに違いなかった(『知るはずもなかった』なんて台詞はこりごりだ)
やがて見知らぬ屋敷に着いた。
「ここは?」
「マスターのプライベート・ハウスよ」
サイス=マスターの私邸。
僕は緊張した。
実のところ、一応上司であるサイス=マスターとはあまり話す機会はない。
暗殺ミッションの指示は全てアインを経由して行われているからだ。
そのサイス=マスターは僕自身に用があるというのだ。
そして、その用向きとは決して良い事ではないだろうと僕は予感していた。
その予感はある意味大いに脱線しながらも当たっていた。
「こっちに来て」
アインの案内で中に入ると、この屋敷の主であるサイス=マスターは何やら作業に没頭中の様だった。
見れば稀少価値的マニアックな銃を解体整備している様だった。
「ツヴァイを連れてきました」
「うむ、少し待ちなさい」
ひとしきり作業を終え、振り返ったサイス=マスターの眼鏡の奥の目は、相変わらず感情の見あたらない爬虫類的な色をしていた。
「さて、始めようか……」
サイス=マスターは軽く身構えていたが、僕はなんの事か分からず、
「???」
という状況だった。
「マスター、ツヴァイは初めてなので……」
「おお、そうだった。私とした事が失念していた」
僕にはこの二人のやりとりが全く変わらなかった。
「ツヴァイ、お前はまだ初めてだ。そこで特別に選ばせよう」
「は?何をです?」
サイス=マスターはもったいぶった様に間を置き、一息おいてから、
「『メンテナンス』と『撮影』とどちらがいい?」
っとまた意味不明な選択肢を僕に提示してきた。
「ま、待ってください。僕には何が何だか……」
「いいから選べ。今回は特別にお前に選択肢を与えているのだ。私の好意を無駄にするな」
「えっと、ちょっと待ってください。そこは『好意』じゃなくて『行為』なんでは?」
「気にするな」
「いや、かなり気になりますよ」
不毛なやりとりに業を煮やしたアインが割って入ってきた。
「ツヴァイ、早く選びなさい。ヒントは無しよ」
……さっきから気なっていたが、この屋敷に入ってきてから僕を含めた全員が何か調子が狂ってきてる。
しゃべり方までおかしくなってる(当社比)
僕の選択を今か今かと待っているサイス=マスターはわかりやすい様にかと左手にカメラを、そして右手を『わきわき』とさせていた。
(これは絶対マズイ)
サイス=マスターのその様子に絶望的なまでに嫌な予感がしていたが、怒りのオーラをたなびかせているアインの視線に負け、そしてどうしても生理的に嫌な感じのするサイス=マスターの右手の『わきわき』を避ける意味で、
「………………『撮影』でいいです」
と答えてしまった。
「おおそうか!」
サイス=マスターの心底嬉しそうな表情に僕は『判断ミスった』と思ったが、どちらを選んでも大した差がなかった事は後で知る事になる。
「こっちに来なさい」
サイス=マスターにいわれるがままについて来たのは異様な撮影スタジオだった。
カメラや照明など撮影スタジオとしての設備は整っていたが、中でも異様なのがスタジオの中心に座しているマネキンの固まりだった。
マネキン達はワイヤーでヘンな方向に固定されていたり、妙なポーズを付けられていた。目をらんらんと輝かせ、僕に向き直ったサイス=マスターは耳を疑う事を僕に向けて言った。
「脱げ」
「………………はい?」
「意味がわからんのか、今着ている服を脱げ」
「で?、へ?、は?………………何でですか?」
「うむ、初めてで分からないのはしょうがないか。では説明してやる。お前は私が作り上げ(実作業はアインがやったけど)完成させた武器だ。そして、完成度が高い武器であれば、それは芸術品としての価値も併せ持つ」
「はぁ」
「私はお前達の武器としての戦闘力はインフェルノに提供している。しかし、芸術品としての価値は持ち主である私の特権だ」
サイス=マスターは自分の話っぷりに高揚感を感じ始めている。ヤな兆候だ……。
「芸術品たる武器をメンテナンスし、記録するのは持ち主の義務であり……楽しみだ」
そういって僕を見つめるサイス=マスターの目は獲物を狙っている蛇の目、そのものだった。
「そういう訳で、脱げ」
「ちょ、ちょっと待ってください。暗殺とかだったら頭のスイッチをちょっと切り替えて出来ますが(待て)『脱げ』と言われて『分かりました~、ご主人様ぁ~♪』って脱げないですよ」(それ意味違う)
「私に逆らうというのか。……あ、洗脳するときに『羞恥心』を抜くのを忘れていたな、私とした事が……」
自分の失敗を確認しているサイス=マスターだったが、ここまで来て諦めてくれる気はなさそうで、
「お前は私の持ち物だ。持ち主に逆らうな」
「で、でも、だって……」
何となく貞操の危機の様な感じがして思わず腰まで引けてしまう僕。
「……ツヴァイ、お前は反応が可愛いな。羞恥心を残しておくのも悪くないな」
「!×△?□○」
僕はパニクった。僕はここでいったいナニをされるんだ!!
「ツヴァイ、いい加減脱ぎなさい」
「アインまで、僕には無理だって言ってくれよ」
銃を僕に突き付けるアイン。何やらデジャブな感じもするけど、
「マスターの命令は絶対よ。その命令に従えないというのなら……」
アインは一旦銃をしまい、後ろを向き、振り返りざまに僕にナイフを繰り出してきた。
「!!!」
しかし、アインのナイフは僕の体を切り裂くことなく、服だけを切り裂いた。
見事、僕の体には切り傷一つ無く服は細切れになって足下に落ちて、うっすらと固まりになっていた。
僕、思いっきり全裸状態。
サイス=マスターは僕の股間を見ながら、
「素晴らしい!」
っと素直なコメント。
僕は思わず『前』を隠した。
「どこを見て言ってんですか!」
「アインは見事に仕事を成し得ていたな。ツヴァイは芸術の域の武器だ」
全裸にさせられて、とほほな状態の僕だったが、前を隠しながら僕はアインに非常に気になる事を聞いてみた。
「アイン、一つ聞いていいかな?」
「なに?」
「僕の帰るときの服ってあるよね?」
アインは答えず、後を向いてしまった。微妙に肩が揺れている。
(後先考えずに僕の服を切り刻んだな。しかも笑ってるし)
笑い終えたのかアインは振り返り、
「さぁ、マスターの命令に従いなさい」
自分の事は棚上げにしていつものクールな雰囲気に戻るアイン。
っとその時僕はある思いにたどり着いた。
「ひょっとして、アインもコレをさせられてるの?」
今度は返事もなく、この世のものとは思えない殺気を込めて僕に銃を向けてきた。
(やっぱり)
しかし、そういう感慨にふける暇もなく圧倒的な殺気を込めたアインの銃口に従う形で僕は嫌嫌ながらマネキン達の固まりの中に入っていった。
(う、冷た)
しかもアインは僕の体をワイヤーでセットに固定してしまった。
(うわ、メチャ嫌な感じ)
ライトに灯が入り、僕とマネキン固まりのいるセットだけがスタジオの中で浮かび上がった。
ライトの熱さで汗ばんでくる。
サイス=マスターは逸る気持ちを抑える様に丁寧にカメラをセットしていた。
見ると一般では見かけない大判フィルムのカメラだった。
『サイス=マスターって一般的なものは好まないな』
って考えてるうちに『撮影』は始まった。
次々にたかれるフラッシュに僕は目がおかしくなりそうだった。
そうしているうちにサイス=マスターは何やらつぶやきだした。
「……この無意味な混沌に満ちた世界。私の意志が塗り替えていくのだ。新たな秩序。新たな均衡。全て私が組み立てる。この演目では神ですらある。天井桟敷の観客だ!」
「あのぉ、天井桟敷って劇場では一番安い席ですよ。神の視点としてはちょっと安っぽいですよね」
「……主役はお前だ、ツヴァイ。私の可愛いプリマドンナ」
「だから私は男ですからプリマドンナじゃないですよ。可愛くもないですし」
「お前はいちいちうるさい!アインだったら静かにされるがままに撮影されるのに……お前には罰を与える」
っと言ってずんずんと僕に近づいてきたサイス=マスターは僕の脇腹をつつぅ~っと指先でなぞった。
「うわぉう!」
更にもう一回、つつぅ~っと。
「うわぃおわぁ!」
「ふふふ、説明してやろう。お前の頭を『洗った』時、その潜在能力を高めるために薬物で各神経系統を鋭敏に調整したのだ」
「はぁ」
「そのおかげでお前は短期間のうちに私の理想とする暗殺者となり得た」
「おかげさまで」
「ただ、その副作用としてお前は『敏感肌』になってしまったのだ」
サイス=マスター言い終わりに僕に更につつぅ~っ。
「な、えぁごぉかぁ!」
人語にならない悲鳴を上げる僕が楽しいのかサイス=マスターの罰は続いた。
「あ、アイン、タステケ」
既に人語もおかしくなっていた僕だったが、気力を振り絞って助けを求めた彼女は、スタジオの隅でうずくまっていた。
やっぱり肩が小刻みに揺れている。
(人の不幸を笑っている)
別の意味でアインに殺意を感じた僕だったが、この僕を助けてくれるのはアインしか……。
サイス=マスター僕に考える暇も与えずに更に僕につんつんつつぅ~っ(攻撃パターンが変化した!)
「アイン、た、す、てけぇ~~~!」
コレがある意味最後の一撃だったらしい。
「あはははははははははははははははははははははははははははははは」
アインの猛烈な(爆笑)が始まった。
この状況になんとサイス=マスターは焦りだした。
「い、いかん。アインはツボると3分間は笑いが止まらん」
「いえ、それ普通の反応です」
「うるさい。そんな事を言いうと……」
つんつんつぃ~~~っ。
「て、と、うぃ~~~」
もう自分が日本人か外国人か分からなくなるくらいに悲鳴のバリエーションが僕の口から量産された。
「あはははははははははははははははははははははははははははははは」
アインはスタジオの隅で笑い転げている。
僕の無間地獄はアインが笑い終えるまで続いた。
アインが正気に戻り、いつものニュートラルな雰囲気に戻ったところで撮影会は終了。
撮影会そのものは失敗だったものの、サイス=マスターは一応の満足を僕の体で得た事で許してもらった。
帰りの車はアインが運転しくれた。
ぐったりとした僕は運転どころじゃなかった(あ、だからアインも以前ぐったりしていたんだ)
それと蛇足ながら、帰り道、さすがに開放的であらゆる趣向に理解のあるアメリカでも裸で帰るのはマズイという事でアインは自分の予備の服を貸してくれた。
嫌がらせなのか本気なのかスカートのヤツを。
帰り道の他の車や隠れ家である貸しロフトの近所の住人の視線がとても痛かった。
最後にとどめは貸しロフトの大家さんがアインに、
「悪い事は言わないから彼氏にはまともな服を着せてやりなさい」
っと言うとアインは、
「私は彼を愛してます。彼の趣味を尊重してあげたいんです」
って切り返していた。
って事で僕、ご近所では女装趣味のアインの彼氏認定(僕、涙目)
いつもの雰囲気に戻ったアインの真意は、僕で遊んでるのか楽しんでるのかは到底分からなかった。
はい、オチが弱いっスね(笑)
んで、アインのキャラぶっ壊れてます(アイン・ファンの皆さまごめんなさい)
サイス=マスター、更に変態に磨きがかかってしまいました。
ツヴァイはツッコミキャラ化してます。
私ってたまにこう言うくだらないショートストーリーが書きたくなるんですよね。
あの6話での撮影会がアインではなくツヴァイがさせられていたらどんな風になるだろう?と言うところからこの物語を考えちゃいました(それにしてもヘンなお話です(爆))
で、今回今まで書いたショートストーリーで一・二を争う変質者ネタになってしまいました(核爆)
いや、すべてサイス=マスターがイケナイんです!(ホントよ)
このショートストーリー、実は「涼宮ハルヒちゃんの憂鬱」のキャラの影響を受けて書いてます。
そんな訳でアイン=長門、ツヴァイ=キョンって感じで読むと馴染むかな、って思います(そうか?)
サイス=マスターは涼宮ハルヒちゃんって言ったところでしょうか(爆)
「Phantomのレビューを書かずにナニをしている」
っと言われれば、私は胸を張って言うでしょう。
「そこにネタがあるから」
チャンチャン(笑)

