●Phantom 第4話 「暗殺」 レビュー
今回はアインとツヴァイの「普段」の行動を描いたエピソード。
無論、二人が動くときは常に人の血と死がつきまといます。
しかし、その中で二人はお互いを違う方向から意識してしまいます(未だ恋愛感情にあらず)
今回は二人が行う暗殺ミッションと互いの存在が強く意識されてしまう事を丁寧に描いたエピソードですね。
そして、アインがかな~りファンサービスする回でもありました(笑)
さて、前回までの荒涼とした土地から一転して場所は街中のショッピングモールに。
水着売り場で冴えない顔で待っているツヴァイを迎えたのはファンサービスとしか思えないアインの水着の試着姿。
「どう?」
アインの意外にグラマスなプロポーションと、その恥じらいの表情に別の意味で打ちのめされたツヴァイ、答えに窮して素のままで反応してしまいます。
「ああぁ、似合ってる……と、思う」
「むぅ、別のにする」


アインが恥じらい、あまつさえ可愛く拗ねてます!(いったい何事か!?もう駆け落ちしたか?それともデフコン1か!!←ンな分けないじゃん(笑))
……とにかく異常事態です(笑)
「ほら早くする!時間には限りがあるんだからね」
「ああぁ、わかってる」
アインはツヴァイの腕を取ってまるで初デートに浮かれる女の子のようにツヴァイをリードします。
途中でクマのぬいぐるみを買い、別の階に移ってはツヴァイを連れ回していました。
端から見れば年頃のカップルの楽しいデートにしか見えません。


ツヴァイは途中で買い物客であろう女性と腕がぶつかってしまい、その女性が手にしていたアイスが落ちてしまいます。
「弁償します」
「……バカ」


ここでもアインは表情豊かに愚痴ります。
結局、その女性には手持ちのコーンタイプではなく本格的なデザートタイプのアイスをツヴァイはごちそうします。
ここでも二人は普通の人のように振る舞い、緊張感もなく、その女性に対して気配りをします。
しかし、ここでだんだん状況が見えてきます。
普通なら学校に通う年齢である二人が平日にショッピングモールを歩き回っている。
アイスをごちそうしている女性からそれを言われるとツヴァイは言葉に詰まりますが、アインは学校の創立記念日のパーティーをサボっていると即興の作り話を女性に言います。
その女性と別れた後、ツヴァイは、
「ごめん」
自分の演技力を無さを責めるようにアインに詫びます。
しかし、アインの行動は違っていました。
「口にアイス付いている。そそっかしいんだからウォレスは……」


アインは恋人のようにかいがいしくツヴァイの口元を拭ってあげますが、それは完璧に今の自分に科せられた人物を演じきっている行動の結果。
これには実のところ仮初めの平安を味わって、いつにないアインの可愛らしさに戸惑っていたツヴァイを現実の底にたたき落とします。
ツヴァイも今は偽りの身分「ウォレス=楊」を演じていたんです(前回ツヴァイが殺したウォレス大尉の本名)
ただ、演技の中であってもアインの瞳は何か愁いを帯びたものがありました。
帰り道、ツヴァイの運転する車の中でアインはいつもの無機質な雰囲気に戻ります。
「モールの構造は把握した?」
「頭にたたき込んだよ」
「メインストリートにある防犯カメラの数は?」
「68。死角はそれなりにあるけどミッションには向かない」
「迂闊に他人とかかわらないで」
「すまない」
「戻ってミッションの検討をしましょう。荷物もそろそろ届くだろうし」
「了解」
二人のデートはまさに暗殺ミッション(ダラス・マフィアの大ボス、ドン=ルシオ暗殺)の下調べだったんですね。
疑われずに現場を見て回るには年頃のカップルのデートでカモフラージュするのは理にかなった行動だった訳です。
アインは一言印象的なことを言います。
「ツヴァイ……演技、下手ね」
このアインの言葉は彼女自身、ペアを率いる立場としての言葉と言うより、むしろ自分の心にある思いが言葉として出てしまったように思えます。
他人を演じきれる自分、演じ切るに至っていないツヴァイ。
しかし、彼はまだ全てを切り捨てて自分自身を傍観者として見つめることが出来る暗殺者ではない。
普通の人の感覚と、暗殺者のそれとを行き来している。
まだ、完全な暗殺者ではない。
振り返る過去もない自分。不完全でも過去の記憶を持ち、アイデンティティの欠片を持っているツヴァイ。
この先を生きていくためにはツヴァイも自分のようにならなければならない事実。
その反面ツヴァイに対して羨望の念もある。
アインは自分で自覚している以上に不安定な心理状態にあるようです。
アインが出かけている間、ツヴァイはホテルの部屋で電気も付けずに一人思いを巡らせていました。
自分が偽りの名「ウォレス=楊」として存在していること。
ウォレスを殺した後、アインと共に何人も殺した事(原作では4人)


今回の暗殺ミッションのターゲット、ドン=ルシオを狙うために行く予定であるショッピングモールを下見していたこと。
っとその時、荷物を受け取りに行っていたアインが部屋に戻ります。
「贈り物よ」
中身はアイン用にコルト・パイソン、ツヴァイ用にベレッタM92FSが入っていました。


「ターゲットが現場に到着するのは、明日の午後3時前後。それまでに私たちはそれぞれ最適の場所に配置につく」
「君の思う最適の場所は?」
「あなたが決めて」
「また、テスト?」
「マスターに言われてるの」
二人は夜の街に出て暗殺ミッション最適配置を検討します。
「襲撃は護衛が少なく、人目に付かない場所がいい」
「それはどこ?」
「答えは一つだ」


歩き回り、夕食の後、二人は夜のプールに行きます。
ここでツヴァイは最終的な答えにたどり着きます。
「ターゲットと護衛が気を緩める瞬間……それは」




ツヴァイの瞳が暗殺者の色に変わります。
「!」
アインは動揺します。
「もういいわ。正解よ」
言わずともわかる。あなたの瞳が答えを示している。
私と同じ暗殺者の瞳のあなたなら、私と同じ答えを導き出しているはずだから。
そして、出来ることならその瞳のあなたを私は、見たくないから。


「そろそろ戻りましょう」
アインの暗殺ミッション構築セミナーは終了します。
彼女の戸惑う感情を内包しながら。
翌日、ターゲットであるドン=ルシオはショッピングモールに現れます。
すでに二人はショッピングモールに入っており、個別行動を取っていました。
しかし、ファミリーの兵隊総動員の警護体制ではドン=ルシオに迂闊に近寄れません。
偶然にもドン=ルシオ側が動き、アインにかなり近い距離に来ます。
でも、アインはそこで個人的な反応をしてしまいます。
ドン=ルシオが孫娘に買おうと手にしていた犬の置物(なのかな?)はツヴァイと仮初めのデートの中で一緒に見て話題にした置物でした。
そこでフラッシュバックするデート中のツヴァイ。
アインも実のところデートを楽しんでいたようです。


過去の楽しい思い出と、今自分がやろうとしていること、そのあまりのギャップにアイン自身、戸惑いを押し殺すことは出来ないようでした。
ドン=ルシオの側近は見た目は愛らしいアインに気がかりな点を感じたのか尾行を始めます。
アインもそれに気づき、ツヴァイを応援に呼びます。


『(携帯電話で)ターゲットを確認。でも、マークされた。こっちにトレーサーは二人。ごまかすから手伝って。エレベーター前の噴水。走って』
アインの待つ噴水前に駆け寄ったツヴァイを待っていたのはアインの軽い平手でした。


「!」
「何分待ったと思ってるの?もぅ、一人で見て回っちゃったわよ」
「……ごめん」
まさに若いカップルの痴話げんか。
周りの人々の失笑の中、アインの怒りの声が響きます(笑)
最初は突然のことで戸惑っていたツヴァイもアインの意図を見抜き、デートに遅れてきたボーフレンドの役を演じます。
「言い訳なんか聞きたくないから。で、今日無駄にした1日、どうしてくれるの?」
「だから……」
「返事によっては帰るから」
「わかったよ。今日の買い物全部持つから」
「ディナーも?」
「いいよ」
そこで明るい表情になったアインはまるで本当の恋人同士のようにツヴァイに抱きつきます。
またツヴァイもアインを優しく抱きしめます。


ここでアインを追跡していたトレーサー達も付き合いきれないとばかりに自分たちの守るべきドン=ルシオの元に戻ります。
二人は抱きしめ合ったまま、周りに聞こえない「恋人の距離」で作戦を確認します。
「ターゲットは南モールのアンティークショップ。迎えの車は南出口に回される」
「続行するのか?」
アインは返事をする代わりに、ツヴァイの胸に顔を埋めるだけでした。
二人は店員の隙を見計らって従業員用通路を使って裏手に出ます。
そこはドン=ルシオが出てくる南出口への最短の場所、そこで二人は襲撃の準備をします。
「用意はいい?」
正体を隠すためにマスケラを被ります。
「ああ」
「アタックは私が、バックアップをお願い」
「了解」
ミッションの際の二人の会話は必要最低限に抑えられます。
余計なことを言う必要もないし、緊張をほぐすためのジョークもこの二人には必要ありません。
ここでツヴァイが導き出し、アインが正解とした襲撃のタイミングがツヴァイのモノローグで語られます。
『ターゲットと護衛が気を緩める瞬間』
それはドンが安全な防弾仕様の送迎車に乗り込み、役目を終えた護衛達が安堵に緊張をゆるめる瞬間こそが最良の襲撃チャンス。
その瞬間を見極め、アインとツヴァイは建物の陰から躍り出て、一気にドン=ルシオの元に突進します。
護衛達はツヴァイによってあっさりと射殺されます。


走り出したドンの乗る防弾車にアインは取りつき、防弾仕様のフロントガラスにKTW徹甲弾を6発立て続けに撃ち込みます。
さしもの防弾ガラスも1点集中の銃撃には耐えられず、防弾ガラスに穴が空き、最後の1発が運転手を撃ち抜きます。
運転手を失った防弾車は制御を失い停止。
中にいた護衛も車から出たところでバックアップのツヴァイに射殺されます。
冷静にコルト・パイソンの弾を装填したアインは躊躇することなくドン=ルシオを射殺しました。
しかし、アインもまた暗殺ミッション終了で迂闊にも気を緩めてしまい、周りの状況を一瞬見逃してしまいます。
アインに向けて放たれた銃撃から彼女を守るために、ツヴァイは身を挺して彼女をかばいます。
ツヴァイはそのために彼女の後に回ってアインをかばいますが、その瞬間までアインはツヴァイが後に来ていたことに気がつきませんでした。
「!」


短期間で自分の後を取るまでに急速に暗殺者として成長してしまったツヴァイ。
そのツヴァイの向こう側に自分の見たくないもの、知りたくないものがあることに気がついている。
アインはこの刹那の瞬間に不確かな不安を感じていました。
アインを銃撃から守ったツヴァイはそのままドン=ルシオの護衛達との銃撃戦に入ります。
アインは先ほどのショックから抜け出せないのか彼女らしくなく反撃もせずにツヴァイの瞳に見入っていました。
思わず感情的に目を細めてしまうアイン。


『私もミッションの時にはあんな瞳をしているの……いや』
そうアインが思っているように感じました。
そこに思わぬ応援が入ります。
サイス=マスター本人が派手な真っ赤なBMWのコンバーティブルに乗って現れます。
「さぁ、幕引きだ」
ツヴァイは車に用意してあったウズィ=マシンガンを、アインは再装填したコルト・パイソンでドン=ルシオの護衛達に弾幕のような銃撃の挨拶をしてその場を去っていきました。
「ご苦労だったな。二人とも」
サイス=マスターの型通りのねぎらいの言葉がありましたが、アインとツヴァイ、二人の思いは別のところにありました。
ツヴァイを見つめるアイン。


「何?」
「何でもないわ」
アインは先ほどのツヴァイに助けられた際に感じた事を引きずっているようでした。
でも、そう感じられたツヴァイもアインに対して感じていることがありました。
演技とはいえショッピングモールで見せたあのまぶしいほどの笑顔と怒り、そしてその仕草。年頃の女の子然としたアインの姿。
本当はあの姿こそがアインではないのか?普段の無口な姿こそが偽りの姿ではないのか?
そう思いを巡らせている内に今度はアインがツヴァイからの視線に気づき、


「何?」
「いや、何でもない」
アインの視線から逃れるように落とした視線の先には先ほどの暗殺ミッションで使ったマスケラがありました。
『アイン、君の本当の顔はどれなんだ?』
ツヴァイの疑問にマスケラは答えてくれるはずもありませんでした。
アインとツヴァイはその夜に飛行機で戻ることとなりました。
空港ロビーで登場予定機を待っている間、なぜかアインは旅行パンフレットをいくつか持ってきていました。
「興味、あるの?」
「特にないわ」
アインも理解していませんでした。
その旅行パンフレットに自分の記憶の底にあるイメージが重ねられ、つい手に取ってしまっていたことを。
隣に座っていたアインはツヴァイの肩にもたれかかってきました。


戸惑うツヴァイに思わぬ人物が声をかけてきます。
ショッピングモールで会ったアイスを落としてしまった女性です。
「彼女、待ち疲れちゃったのかな?」
しばらく何気ない会話をした後、その女性は去っていきました。
女性が去った後、アインは目を開け、一言評価しました。


「今のは、いい演技だったわ」
今ミッションでの課題だったツヴァイの演技への簡易テストだったようですが、アインの表情を見ると、それだけではなかったように思えます。
アインのツヴァイに対するあらゆる感情はますます混迷の度を加えているように思えます。
ここで少しだけアインとツヴァイの今の暮らしが少しだけ紹介されますね。
二人が隠れ家としているのはロサンゼルスのコリアタウンの貸しロフト。
洗濯は近くのコインランドリー。


このシーンは何気ない生活感があってほほ笑ましかったのですが、次のシーンではやはりと言うべきかアインのコルト・パイソンのメンテナンスでした。
アインは丁寧に銃身を清掃している脇で、ツヴァイはテレビを見ている。
仕事の時以外はお互い年頃の男女でありながら何一切干渉しない暮らし。
『犬小屋で、ただ役目を待っている猟犬が二頭。それが今の僕たち』
それが二人の日常です。
しかし、お互い干渉しない暮らしをしていても、その存在は互いに影響し合っています。
ツヴァイから見れば全ての感情を押し殺し、冷徹に殺し屋としての役目を遂行しているアインもまたツヴァイから有形無形の影響を受けています。
窓のそばに立つツヴァイをシャワーから上がった(のかな?)アインが後から見つめていました。


「どうした?」
「何でもないわ。気にしないで」
その役割上、お互いの胸中を語り合うという至極当たり前の思考がアインにはありません。
ここに来て初めてわかりやすい形でアインの胸中にある不安と恐怖が描かれます。
それはツヴァイを経て見る自分自身との対峙。
『マスターの言ったことは正しかった。彼は私が2年かけてたどった道を3ヶ月で駆け抜ける』


アインは今までのツヴァイとの訓練を思い出していました。
『彼は、かつての、私……もう一人の、私』
アインはツヴァイを通して自分の記憶している2年間の記憶の再現を見ているような感覚を覚えていました。
記憶を失った悲しみ。そして生きていくことの苦痛。
それがやがて魂を蝕んでいく絶望もまた。
ツヴァイの苦痛を一番理解し、共感しているのもまたアインでした。


『……怖い。真実。私のありのままの姿を見てしまいそうで……』
それは今の自分が壊れてしまうことと同義語です。
『あなたの瞳が……怖い』
今回は色々贅沢なくらいに盛り込まれて良い回でした。
アインのサービスショットもございましたし(笑)演技とはいえ表情豊かなアインも見れました♪
アインの声を担当している高垣彩陽さんも本領発揮というか、のびのびと演じられていましたね。
アクションシーンはドン=ルシオの護衛が少々ヘタレではありましたが(笑)アインの至近距離からの銃撃がかっこよかった。
アニメ版のアインって原作ゲームに比べて感受性が高くなっちゃってますね。
もう、ツヴァイの存在に影響受けすぎ。
暗殺ミッション遂行中って言うのに銃を持つのを忘れてツヴァイに見いちゃってます。

これじゃPhantomの称号を早々ツヴァイに取られかねません(笑)
※ちなみに原作ゲームではしっかり戦っていました。
でも、一人では感じなかった事が鏡の中の自分のような存在であるツヴァイが現れたことでその精神の均衡がきわどい状態になってしまう。
アインは何も感じない、何も考えないのではなく、その自分自身の絶望を深く静かに押しとどめることで今を生きてきた。
その生き方を再考させる存在がツヴァイなんですね。
ありのままの自分を見てしまう。その先に何があるのか、アインは見当も付きませんし理解できません。
わからないからこそ怖い。
おそらく自分が壊れてしまうことはうすうす予見していると思います。
アインの苦悩はまだまだ続きます。



















































































