レートが下がった時の対応のシミュレーション
まずは手始めに10,000通貨購入で始める場合(証拠金100,000円)を想定してみます。
レートを1トルコリラ=30円と想定した場合、トルコリラを10,000通貨購入するとレバレッジ1倍で300,000円必要です。
スワップ目的ですので、あまりリスクをとらずにレバレッジ3倍でシミュレーションしてみましょう。レバレッジ3倍であれば証拠金100,000円でスタートです。この時点で維持率は約833%です。
トルコリラのスワップポイントは外為どっとコムで1日86円となっています。(10,000通貨 / 2018年2月1日現在)
これでいくと1年間で86円×365日=31,390円のスワップポイントが付与されます。証拠金が100,000円ですから利回りとしては30%を超えます。
レートに大きな変動がなく、1年後に1トルコリラが29円になった場合
最初は下落幅が少なかったケースです。
保有ポジション | 10,000 |
---|---|
ポジションレート | 30円 |
ポジション評価額 | 290,000円 |
ポジション評価損益 | −10,000円(未決済) |
受け取りスワップ | 31,390円 |
口座損益 | 21,390円 |
有効証拠金 | 121,390円 |
必要証拠金 | 12,000円 |
維持率 | 1,011% |
1円の下げでは受け取りスワップポイントが上回っているため口座自体の損益はプラスになります。
ここでお気づきだと思いますが、スワップポイントの額が年間31,390円であるということは、トルコリラが約3円以上下がらなければ資産としてはマイナスにはならないのです。これで見るとスワップポイントの威力は大きいと思いませんか。
レートが大きく下がり、1年後に1トルコリラが26円になった場合
次はレートが大きく下がったケースですが、このくらいの変動は想定しておかなければなりません。
保有ポジション | 10,000 |
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ポジションレート | 30円 |
ポジション評価額 | 260,000円 |
ポジション評価損益 | −40,000円(未決済) |
受け取りスワップ | 29,192円 |
口座損益 | −10,808円 |
有効証拠金 | 89,192円 |
必要証拠金 | 10,400円 |
維持率 | 857% |
4円はかなりキツイ下げですが、この場合でも維持率としてはまだ比較的安全だといえます。スワップポイントがあるのと、レートが下がったことにより必要証拠金の額が減ったことが寄与しています。
但し、ここまで下落するとスワップポイントを考慮しても資産はマイナスになってしまいます。ここでお気づきの方もいるかと思いますが、29円の時に比べて受け取りスワップポイントの額が減っています。これは為替レートの下落に応じてスワップポイントも減るのでその分を調整したものです。但し、あくまでも概算であり多少の誤差は生じます。
ではレートが下がった時はどのようなルールにするか
上記の2例を比較すると4円も下がると厳しいですが、1円くらいの下落であれば比較的余裕があります。なので1円下落するごとに対応するということにしましょう。
具体的には1円下がるごとにポジションを決済し、新たにポジションを持ち直します。
1トルコリラが29円になった時に一旦決済(ロスカット)して、新たに29円でポジションを持ちます。これをポジションチェンジと呼ぶことにします。
これはタイミングに関係なく機械的に行わなければなりません。もしかすれば買って1週間後かもしれないのです。FXの取引手数料は基本的に無料ですから、いくらポジションチェンジをしても資金に影響はありません。
このパターンで1年間に4円下がった場合、1年後はどうなっているでしょうか?
保有ポジション | 10,000 |
---|---|
ポジションレート | 26円 |
ポジション評価額 | 260,000円 |
ポジション評価損益 | −40,000円(ロスカット分) |
受け取りスワップ | 29,192円 |
口座損益 | −10,808円 |
有効証拠金 | 89,192円 |
必要証拠金 | 10,400円 |
維持率 | 857% |
さっきのポジションチェンジをしなかった場合と比べるとどうでしょう?
実は損失を確定しただけですので、損益は同じです。当然維持率も同じです。何が違うかといえばポジションレートが30円から26円になっているだけです。
ではポジションチェンジをせずに保有していてもいいのではないか、ということになります。しかしそれは長い目で見れば良い戦略とはいえません。例えばロスカットするにしても10,000円ずつするのと一気に40,000円するのでは心理的負荷が違います。どうしても損失額が大きくなるとロスカットし難くなってしまうのです。
また下落傾向が続いている時はさらに下落する可能性も高いため、さらロスカットが難しくなったりしますし、損失額の大きいポジションがあれば評価損分が有効証拠金の額から引かれるため、ポジションを買い増しするときの足かせになってしまうのです。
ということで、レートが下がっている時は、ルールで決めたとおりに1円の下落ごとにポジションチェンジをして、購入レートを下げることが重要です。
さらに下落したケースを想定
念のためさらに下落したケースを想定しておきましょう。
1年で6円下落したとして、ポジションチェンジで対応します。
保有ポジション | 10,000 |
---|---|
ポジションレート | 24円 |
ポジション評価額 | 240,000円 |
ポジション評価損益 | −60,000円(ロスカット分) |
受け取りスワップ | 28,251円 |
口座損益 | −31,749円 |
有効証拠金 | 68,251円 |
必要証拠金 | 9,600円 |
維持率 | 710% |
このケースでもまだ維持率は500%を上回っているため大きな問題はありませんが、ここまで放置するのは止めましょう。
ポジションチェンジの優位性
シミュレーションでも確認できるように、ポジションチェンジをしていくことによってリスクが軽減できます。
レートは下がっても、長期的に見ればまた戻る可能性もありますが、予測できないことを議論しても仕方ありません。
それよりは、ルールに基づいて保有ポジションレートを下げて調整していくことで、有利なポジションを構成していくことができるのです。またレートが上がった場合は、お宝ポジションを増やすことができます。
ポジションチェンジをして、常に安全圏でポジションを管理することによる優位性を活かすようにしましょう。
結論は「ポジションチェンジを徹底する」
実はトルコリラの場合、スワップポイントが現状のまま維持されるとすれば5年間では10,000通貨で150,000円を超えるスワップポイントが付与されるため、一時的に大きく下げてロスカットされない限り、5年後に1トルコリラが18円になっていたとしても、口座損益はギリギリですがマイナスにはならないと想定されます。ロスカットも1年で9円以上の急激な下落がない限り心配はありません。またその場合は少しだけ証拠金を積み増せば口座を維持できます。
それでもレートが下落しているのであればポジションを放置することは止めましょう。
ここでのルールとしては…
レートが1円下がるごとにポジションをチェンジして購入レートを下げていく。これは迷わず機械的に行う。
これでロスカットされるリスクはさらに低くなり、ほぼ回避できるでしょう。また購入レートが下がるため心理的にも安心感を持つことができ、レートの動きを恐れる必要がなくなります。